Pathological love
「楽しそうで、いいですね!」
「楽しいわよ!!不思議なんだけど、年を取れば取るほど、やりたいことがどんどん増えていって止まらないの。時間が足りないくらい。」
生き生きとした目で、身振り手振りを交えて話す京子さんは、本当に自分の人生を謳歌している様で輝いていた。
「羨ましいです。私なんて、ずっと仕事ばかりで、それが生き甲斐みたいになっちゃって………。仕事が無い日は、どうしたらいいか、分からなくなるくらいです。」
「え~…それは人生損してるわ!一度きりの人生なんだから、何でも好きなことしなくちゃ!自分の人生は誰の物でもない、自分の物よ?仕事だけじゃなくて、もっとプライベートにも使わなくちゃ!それに、恋愛もね!」
「自分の人生は自分の物………か。」
(私の好きな事って………何だっけ?)
「あっ!でも、恋愛は、もう成就しているわね?料理上手の素敵なフィアンセがいるものね!」
「えっ?まぁ………はい。」
確かに、何の気兼ねなく連理と料理をして、他愛もない話や、愚痴を言っている時は、ここのところ楽しくてしょうがない自分がいることは確かだ。
でも、私達は契約書は取り交わしていないだけで、お互いの利益の為に一緒にいる。
そこには、何の愛情も無いし、未来も無い。
最初は割り切った、都合のいい相手だったのに、今、自分でそうゆう関係だと言い切ってしまうと、胸の奥が苦しい。
「今がいい時なのに、どうしてあなたは、そんな顔をしているの?」
図星を突かれて、ドキッとする。