Pathological love
取り敢えず笑って誤魔化してみると、京子さんは呆れたような顔をして、またしょうが焼きに箸を伸ばした。
「まぁ、色々あると思うけど、余計な事は言わないことにするわ。それにしても、このしょうが焼き…極旨だわ………。」
「でしょ?!私も、初めて食べた時は、感激しました!!どうしたら、こんな味付けが考えつくのか。」
「もしかして、この味は、彼の直伝?」
「そっそうなんですっ!!」
(うわ………やばっ。)
「令子ちゃん、もう、しっかり趣味見つけてるじゃない。さっきの顔、キラキラしてて素敵だったわよ?」
「えっ?」
京子さんの満面の笑みで、私は、何か気づいてしまった様な気がして、ちょっと怖くなった。
「令子ちゃん?どうしたの?」
「いえ、別に何でもありません。私、一旦社に戻らないと行けなくて、すいませんが少し外出します。」
「特に用はないから、いいわよ!」
私は、京子さんに一礼すると、そそくさと事務所を後にした。
「…………私がキラキラしてるって?…………そんな筈無い。」
モヤモヤした気持ちを振り切るように、私は、速足で社へと向かった。