2番目じゃなくて、2度目の恋
大通りでタクシーをひろって移動すること30分。
医療センターに到着した私は、敦史に言われた通りに入口で彼に電話をした。
『佑梨、着いたのか?』
「うん。いま入口にいる」
『そのまま待ってて』
短い会話を交わして、電話を終える。
ものすごく広くて大きな病院。
母がどの病棟にいて、どの部屋にいるのかは分からない。
娘の私なら受付に声をかければすぐに通してくれたと思うけれど、敦史が迎えに来るというのだから従うことにした。
人の出入りの多い院内。
こういう大きな病院に勤めたことはないけれど、クリニックには来ないような重病の患者さんが溢れるほどいるんだろうなぁ。
流れる人の動きを眺めてそんなことを考える。
もうすぐ敦史が来る。
彼に会ったら、私はどうなるのだろう。
取り乱したりしないかな。
責めるような言葉を言ってしまわないかな。
ちゃんと笑えるかな。
泣いてしまわないかな。
不安要素は数えればキリがない。
それでも、もう向き合うしかない状況なんだ。
ドキドキするよりも、胸がギュッと締め付けられるような感覚に陥る。