2番目じゃなくて、2度目の恋


そうか。
それで11月13日までという期限を設けて恋人役を依頼してきたのか。
口だけでなく、実際にいるということを伝えるために。


「俺のしょうもないプライドのために、こんなことに付き合わせてしまって本当にごめん」


弘人が頭を下げてきたので、私は慌てて彼の肩に手をかけた。


「謝らなくていいよ……。そういうことなら約束通り11月13日まで私と恋人ってことにしても大丈夫だから」

「……え?」


今度は弘人の方が目を丸くして驚いた表情で私を見つめてきた。


「何言ってるんだよ……。好きな人が出来たって言ってたじゃないか。だから解消したいって……」

「そ、それは……」


たしかに私はそう言った。
間違いなく、覚えている。


だけど、少しでも弘人の役に立てるなら、嘘でもいいから恋人のままの方が彼にとっていいのなら、そうしてあげたいと思ってしまったのだ。
11月13日までちょっと切ない思いをするけど、でも我慢すればいいだけのこと。


私は弘人のことが好きだから。


どうせ告白しても『2番目』にしかなれないのは分かってるから、それは隠して。
彼の役に立ちたかった。


解消したいと言い出したのは自分なのに、いざ本人を目の前にしたらもう会えなくなるのは寂しくて、何か理由を探してしまった。
私は結局そういう女なのだ。

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