2番目じゃなくて、2度目の恋
「私のことはいいの。弘人が困ってるなら、助けたいって思っただけ。ダメ?」
「好きな人とはうまくいってないのか?」
「聞かないでよ、そんなこと……」
私が答えをごまかそうとしていたら、急に弘人の手が私の手に伸びてきた。
重なった手を見下ろして、自分の顔が赤くなっていくのを感じて一気に恥ずかしくなった。
そんな私に気づいているのかいないのか、弘人は答えを求めてきた。
「うまくいってないってことなのか?」
「ほ、ほっといてよ……。手を離して」
「それなら俺にもチャンスある?」
「え?チャンス?」
「…………いや、そうじゃないか」
重ねた手をスッと外した彼は、やけに落ち着いた口調で言い直した。
「俺に、チャンスをください」
その言葉に、ドクン、と胸が震えた。
彼の真っ直ぐな目が、動揺している私をしっかりと見ていて。
金縛りにでもあったように動けなかった。
「都合よく聞こえたらごめん。でもこの1ヶ月、気づいたら佑梨のことを考える時間が増えてた。お互い知らないことの方が多いし、そんな風に思うようになるなんて自分でも驚いてる」
「弘人……、そ、それは……」
「好きだ。あなたのことが。誰よりも」
それは、私が心のどこかで期待して、かき消して、傷つかないようにしてきた言葉だった。
戸惑ってパニックになりそうな私の頭の中に、ストンと落ちてくるような、魔法のような言葉。