2番目じゃなくて、2度目の恋


やっぱりお茶を出すべきだった。
自分の喉がカラカラで、言葉を口にするのが苦しい。


かろうじて出た言葉は、


「両想いってことなの……?」


という微妙なものだった。
「ん?」と、目の前の弘人が首をかしげる。
私も同じように首をかしげる。


少しの間、沈黙が訪れて━━━━━。


弘人がつぶやく。


「どういうこと?」

「どういうことも、こういうことも……私も弘人のことが好きで……。でも彼女のことが忘れられないんだろうなって、そう思ったら踏み出せなくて……」

「…………なんだよそれ」


アタフタしている私を眺めながら、弘人が吹き出すようにして笑っている姿が目に映る。


「ナントカさんって人のことが好きなんじゃなかったの?」

「ナントカさんは……弘人のことなんだもの……」

「………………」


弘人が黙って、私は気がついた。
ついつい、そのまま私まで彼のことが好きだと言ってしまったこと。
もちろん彼もしっかり聞いてしまっているに違いない。


だって、弘人はとても優しく笑っている。


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