2番目じゃなくて、2度目の恋
好きな人に嫉妬されるという経験なんて、もちろん無いわけで。
私のパンク寸前の頭は今にも噴火しそうで、恥ずかしくて。
お願いだから真っ赤な顔を見ないで欲しい、という思いを込めて彼をギュッと抱きしめた。
すると、弘人がこう言ったのだ。
「11月14日に、またファミレスで待ち合わせしない?」
意味が分からなくて、顔が真っ赤なままで彼から体を離して「どういう意味?」と聞いてしまった。
きっとそんな私の様子がおかしかったんだろう、弘人が笑いをこらえるように口元を緩ませる。
「仮初の関係は11月13日までって言ったよね。だから、11月14日からやり直したい。まだ知らない、佑梨のこと、俺のこと、たくさん話そう」
「その日から、本当の恋人になれるの?」
「うん、そう」
ふふ、とポロリと私まで笑みがこぼれた。
「会いたい時に、会いたいって言ってもいいの?」
「駆けつける」
「キスも、11月14日解禁?」
「…………我慢する」
若干言葉に詰まりながらもうなずく弘人の微妙な表情を、私は楽しい気持ちで見つめて心が弾んだ。
「2度目のお見合いだね」
「いや、違うよ」
弘人は私の髪の毛を撫でながら、
「2度目の恋だ」
と言った。