2番目じゃなくて、2度目の恋


「それで?付き合うことになったって、一体どんな人なの?そんなにいい男なの?」


私の恋愛事情を唯一知る、親友の郡山美鈴がどことなく落ち着かない様子で顔を覗き込んできた。


彼女こそ小学校の低学年から仲良くしており、正真正銘の幼なじみと言える。
もちろん、敦史を「かっこいい」と言っていた女子の一人だけど、それはあくまで目の保養というだけで実際には違う男の子を好きだったパターンだ。


美鈴は頑なに恋人を作らなかった私の気持ちもよく理解しているし、敦史を想い続けるのは不毛だと何度も何度も言ってきた。
そんな忠告を無視した私が受けた代償は思いのほか重かった。


水曜日の午後はクリニックが休診なので、専業主婦として時間を持て余している美鈴と街中へランチに来ていた。


もはや望月弘人という男の顔を思い出すのも危ういほど、彼から一切連絡が来ていない。
お見合いもどきをしてから10日ほど経過していて、彼は彼で私を変な女と見なして『恋人になる』という微妙な約束を無かったことにしてるんじゃないかと疑ってしまうほどだった。


10日前に30分ほど突き合わせた彼の顔をぼんやり思い出しながら、美鈴に答える。


「いい男、ってわけでは無い。見るに耐えないわけでもなく、どちらかと言えば見た目も悪くはない」

「なにそれ、よく分かんない。かっこいいの?ブサイクなの?」

「ブサイクではない」

「かっこいいのね」

「まぁ、普通かな」


手を叩いて喜ぶほど素敵な見た目かと問われるとそうではない。
好みではないんだけどストライクゾーンにはあっさり入るという、それくらいのレベルだ。


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