2番目じゃなくて、2度目の恋
美鈴は社会人になって2年目の時に付き合った会社の先輩と昨年結婚した。
社内恋愛を成就させて入籍して豪華な挙式もして、誰からも祝福されて笑顔いっぱいで。
私は彼女のようになりたかった。
彼女みたいに普通に恋愛して、何人かの男性と付き合って色んな経験をして、そして普通の結婚をしたかった。
だけどもうそれは無理なんじゃないかと思う。
17年間も同じ人を好きで、しかも叶ったわけでもない。
そんな重い女を誰が好き好んで相手にしてくれるというのか。
「とりあえずさ!」と、美鈴がバン!とテーブルを軽く叩いた。
突然大きな音を出されたのでビックリして肩を震わせると、彼女が笑った。
「佑梨、笑お!そんな暗い顔してたら幸せ逃げちゃうからさ!私なんて笑ってごまかしてうまいことやってこれた人生なんだから。そんな感じでお気楽にやってこ!」
「あはは、そうだね」
彼女の勢いに押されて思わず吹き出すと、少しだけ気持ちが軽くなった。
私が投げやりになるたびにこうして引き戻してくれる美鈴には感謝しなくちゃ。
時々「どうでもいいや」って思ってしまうことがあるから、それは良くないなとは感じている。
実際そのせいでナントカさんと付き合うことになったわけだし。
もしも望月弘人さんからいつか連絡が来たら、やっぱりこんな微妙な関係はやめようって伝えてみよう。
むしろこれって付き合ってるうちにも入らないような気がするし。
一般的な恋人がどれくらいの頻度で会っているのか知らないけれど。