2番目じゃなくて、2度目の恋
約束の10時に最寄り駅まで行くと、路肩に停められた白い車のそばに見覚えのある男性が立っているのが見えた。
まだ5月だというのに初夏を思わせる強い日差しの下、薄手の白いシャツにデニムを合わせた望月さんが私を見つけて軽く手を上げて位置を知らせている。
彼に駆け寄ると、うっすら微笑んでいた。
「久しぶり」
2週間振りに見る彼は、第一印象と何ら変わりない印象を再び与えてきた。
それなりに身長もあって、清潔感もあって、ファッションセンスも悪くない。
顔も特別かっこいいわけじゃないけれど、私の中では「有り」な方。
全くもって最初と同じ印象。
「よろしくお願いします」
きっちりと頭を下げて挨拶したら、彼に吹き出された。
「あのさ、そういうのやめてくれない?」
「どういうのですか?」
「そういうかしこまった面倒なやつ」
別にかしこまってるつもりなんて無いんだけど、彼の目にはそう見えるらしい。
なにしろ車を出してもらう上に、けっこうな距離を運転してもらうのだ。
よろしく、と頭を下げるのが普通じゃないの?
「あと敬語もやめて。なんか話しづらい。あ、乗ってね」
彼はそう言いながら、助手席を指差して私に乗るよう促してきた。
はい、と返事をしてとりあえず車に乗り込む。
運転席と助手席のドリンクホルダーにペットボトルのお茶がすでに置いてあって、それはきっと彼が私のために用意してくれたものなんだと分かった。
意外だな、と運転席に座った彼の横顔を眺める。
この人は細やかな気遣いが出来る人なんだ。
そうなってくると、ますます怪しい。
どう考えても彼女いない歴=年齢は嘘にしか見えない。