2番目じゃなくて、2度目の恋
「ほらね」と、私は笑顔を作って弘人に続ける。
「私ってこういう言い方しかできない冷たい女なの。顔も、笑ってないとクールに見られるの。とっつきにくいね、って言われる。そんな女が横にいるのってなかなか大変だよ?」
「そうかもね」とか「それでもいいよ」とか、弘人ならやんわりと肯定してくるようなことを言って、そして適当に笑って流してくるような気がしていた。
ところが、彼が返してきた言葉は意外なものだった。
「ふーん、そうやって自分を守ってきたんだね」
「…………守る?」
キョトンとする私に、彼は桜を見上げながら
「他人にそう見られるから嫌われても仕方ないとか、好きになってもらえないとか、そんな風に思うようにしてるだけでしょ。俺には別にあなたが冷たく見えたことも無いし、とっつきにくいとも感じたことが無い。……まぁ、ほんとに寂しそうには見えたけどね」
とつらつら語った。
そして、私が黙って聞いているのをいいことに、彼はニヤリと笑みを浮かべたのだ。
「けっこういいとこ突いてるでしょ、俺」と。
「そんな自分を押さえ込んだりしないでさ、嫌われてもいいや~って適当にやっていかないと疲れるよ?桜でも見て癒されたらいいんじゃ……」
「あなたに私の何が分かるのよ」
弘人の言葉を遮るようにつぶやいた自分の声が、やけに震えてしまっていて。
動揺しちゃってるなぁ、と自分でも笑えた。
やっぱり彼と話していると、考える時間がない。
考えるよりも先に言葉が口をついて出てしまうのだ。