2番目じゃなくて、2度目の恋
そこから先、浅野さんは私にやたらと質問をぶつけてきた。
内容はほとんど私の基本情報。
きっと彼も婚活代わりに合コンに来たんだろうなって思うような質問ばかりだった。
「僕は35歳なんだけど、水戸さんっていくつなの?」
「28です」
「僕は市役所の障害高齢課にいるんだけど、水戸さんのお仕事は?」
「内科クリニックの医療事務です」
「僕の好きなタイプはおとなしくて優しい子なんだけど、水戸さんの好きなタイプは?」
「…………何も言わなくても、私のことをわかってくれる人」
「あ、分かる!そういう人っていいよね!」
手を叩いてまで同意してくれた浅野さん。
でも、私は彼の質問の前にいちいちついてくる自分のプチ情報みたいなものに少し呆れていたりした。
僅かでもアピールしたいのか、なんなのか。
ちなみに、私はおとなしくもないし優しくもありませんよ。
付け加えて言いたかったけれど場の空気を壊したくなかったし、あと1時間ほどなら我慢しようと決意した。
途中で吉川さんが私の腕を肘で小突いてきて、ニヤニヤとした笑みを浮かべて耳打ちしてきた。
「いいじゃん、いいじゃん!水戸さん、その人に決めたのね?」
「違います……」
人間観察どころか、ひきりなしに浅野さんに話しかけられるのでなかなか周りを見ることも出来なかった。