2番目じゃなくて、2度目の恋


上司に無理を言って変えてもらったシフト。
丸一日勤務だったのを半休もらって夕方出勤にしてもらった。


なんで見合いなんかでシフトまで変えさせて、必死になって行かなきゃならないのかという葛藤と戦ってようやく着いた約束のファミレス。


堅苦しいのが嫌だったから、静かな料亭とかそういうのじゃなくてファミレスを指定したけど。
さすがに非常識だったかな。
まぁ、でもいいか。
相手の気持ちなんてどうでもいいし。


こんな日に遅刻なんて普通ならあり得ないというのに、余裕で10分を過ぎてしまった。
怒っているだろうか。


見合い相手の名前だけは叔父に聞いていた。
「水戸佑梨」という名前で、「ゆり」じゃなくて「ゆうり」と読むのだと口酸っぱく言われたから嫌でも頭に叩き込まれた。


ファミレスに入って、ウェイターに女性と待ち合わせをしていると伝えたら真っ先に窓際のテーブルに案内された。


ドリンクバーとサラダバーのエリアを抜けて、奥まった席に通される。


そこにいたのは、意外にも綺麗な女だった。


「水戸佑梨さん、ですか?」


と声をかけると、彼女は何か考え事でもしていたらしくハッとした表情で顔を上げていた。


< 63 / 133 >

この作品をシェア

pagetop