2番目じゃなくて、2度目の恋
『あんまり男を信用しちゃダメよ?佑梨はしっかりしてそうだけど隙が多いんだから、つけこまれたりしたら終わりだからね!』
「そのセリフ、もっと前に聞きたかったな」
『え?』
「ううん。こっちの話」
合コンに行く前に聞けていたなら、浅野さんに少しは警戒心を抱けていたのに。
過ぎてしまったことはどうしようもないから、あーだこーだ言うつもりはないんだけど。
『とにかくそのナントカさんとの関係は早々に切り上げて、さっさとちゃんとした恋愛しなよ?』
美鈴は私のことがよっぽど心配なんだろうな。
彼女の言葉を聞いていると実感する。
敦史との関係を終わらせて、一番悲しんでいたのも喜んでいたのも美鈴だ。
「佑梨がこんな風になるまで傷つけた瀬名くんを許せない!…………でもやっと、今度こそ幸せな恋愛をする権利を手に入れたね」
彼女はそう言って泣いてくれたんだっけ。
「ありがとう、美鈴」
『お礼言われることなんてしてないよ~』
電話越しに2人で笑い合って、「おやすみ」と伝えて電話を切った。
携帯をテーブルに置いて、買ってきたポテトサラダとサンドイッチを食べる。
時刻は21時を過ぎていた。
テレビもつけず、なんの音もしない空間で静かに食事をとる。
微かに両隣の部屋の生活音が聞こえて、真っ白な天井を見上げた。