2番目じゃなくて、2度目の恋
7 愛情か、同情か


朝を迎えた。


目を開けて、いつもと違う部屋で一瞬驚いたけど。
昨夜の出来事を瞬時に思い出して、体を起こした。


ベッドで眠る佑梨の顔は、寝ているのに泣いてるような顔に見えた。


一人になりたくないと言う彼女を放っておけず、結局彼女の部屋に泊まったのだ。
もちろん、やましいことなど何もしていない。
キスはおろか、手も繋がなかった。


時々彼女のお母さんが泊まりに来るらしく、その時に使っているという簡易布団を敷いてくれて、そこに寝たのだ。
さすがに同じベッドに寝るっていうのは、お互いに抵抗があったし。
布団が無ければフローリングの床でも構わなかったんだけど。


電気を消して暗くしたあとも、しばらく佑梨は泣いていた。
何度も何度も「弘人、もう寝た?」と尋ねてきた。
正直、俺も全然眠れなかったから「起きてるよ」とその都度答えた。


人のことは言えないけど、彼女はきっと人一倍寂しがり屋なのだ。
愛していた人の一番になれず、ずっと孤独に耐えてきたから。
その気持ちはよく理解できた。


だから彼女の気持ちにリンクして、その華奢な体を抱きしめたときについ涙が滲んだ。


こんなにか細くて折れそうな彼女が、俺と同じ思いをしているなんて可哀想で辛そうで、見ていられなかった。


佑梨が涙で顔を濡らしながら言っていた言葉。
「私の17年を返して」。


17年って、俺よりも長いじゃないか。
この人は俺なんかよりもずっと長く、辛い思いをしてきたんだ。


やるせない気持ちになりながら、瞼を腫らして眠る彼女を見つめた。

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