七人だけの世界

誰もいない。



ハッと目が覚めた。ガバッと起き上がってみる。


そこは見慣れた景色で、私の部屋だった。


なんだ、さっきのは夢だったのか…。私は長い溜息をはく。

辺りをもう一度見れば、薄暗かった。多分、夜なんだと思う。


なんか、まださっきの出来事が本当のことなんじゃないかって思えてきて、心臓がドクドク動く。


そうだ、ママのところに行こう。


ママのところに行けば、きっと安心する。そう考えた私は、自分の部屋を出て、急いでママのいる部屋へ向かった。


私の部屋は2階の端にある。それに比べ、ママの部屋は1階。パパはいない。…離婚しちゃってるから。


パパがいなくなったのは幼い頃で、今はパパのこと、ぼんやりとしか思い出せない。…しょうがないよね、小さい頃なんだもん。


ママの部屋の前に来た。早くママに会いたくて、素早く扉を開ける。


「ママっ………あれ?」


そこには、ママの姿がなかった。変なの、いつもならココで寝てるのに。


パッと明かりを付けてみる。今まで暗いところにいたから眩しい。


でも、やっぱりそこにはママの姿がなかった。


今何時かな…。時計を見てみる。


「えっ?」


2時だった。暗いし、多分深夜の。なのにママはいない。おかしいと思った。


今度はリビングに行ってみる。ソファーで寝てるんじゃないかって思ったから。


それでもやっぱりママはいなかった。

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