七人だけの世界
他の部屋も、全部見て回る。ママがちょっとでも居そうな場所なら、トイレも、お風呂場も見た。
でも、やっぱりいない。
そういえば、家で猫を飼ってるんだよね。ほら、猫って夜行性じゃん?だから、私が探している間にバッタリ会ってもいいと思うんだよね。
なのに、猫もいない。そんなのおかしい。
二回も三回も、沢山見回った。なのに、誰もいない。
深夜の1人しかいない家はとっても怖いし…。
「もう、やだぁ」
泣きそうになる。私1人しかいない。その孤独感はとても恐ろしいもので。
他も探そうと思った。
誰か1人でもいい。だから…。
私は必要なものだけをリュックに急いで詰め込んだ。
カーディガンに、半ズボン。それと帽子。ティッシュにハンカチ。怪我したときの絆創膏も。あとノートに筆記用具もね。
今が7月で良かったと思う。これが冬だったら、荷物も多くなるし。
炊飯器に残っていたご飯でおにぎりを何個か作った。…お腹空いちゃうもんね。
最後に、懐中電灯を握って。外に出た。