七人だけの世界
「智花ちゃん、ちょっといい?」
そう言いながら、私に近付いてきたのは心ちゃんだった。
「ん?どうしたの」
なるべく笑顔で聞いてみる。少し引き攣ってるかもね。
「あー、ごめん、廊下ででもいい?」
何を企んでいるんだろう。…よく分からないけど付いていく。
廊下に出た。
「放課後さ、屋上に行こうと思ってるんだよね。…一緒に行かない?」
突然の誘いに戸惑った。だって、そこまで心ちゃんと仲が良いわけじゃないし…。
「弥美ちゃんは?仲イイじゃん」
佐々木 弥美(ささき やよい)最近は、心ちゃんと仲が良い。気が強くて、私はあまり好きじゃない。
「あー…、弥美ね…。ちょっとアレなんだよね」
苦笑いをして、結局なぜかは教えてくれなかった。まっ、そこまで気になるわけじゃないんだけれど。
「別にいいよ。今日用事ないし。…誰が一緒に行くの?」
今日は習い事がないのだ。木曜日に絵の教室があるだけで、塾も行っていない。
友達と遊ぶのも、たまにだし。
「由希ちゃんと大輔と、圭太と蒼太と優…と私で行くことになってる」
加藤 由希(かとう ゆき)おっとりしているが、笑い上戸。サラリと発言に下ネタを入れてくる。
谷口 圭太(たにぐち けいた)と谷口蒼太(たにぐち そうた)。略して谷口兄弟。圭太くんの方は比較的に明るい。蒼太くんは内気だが、ノリがいい。2人とも優しくて顔がいい為、よくモテる。月と太陽で例えると圭太くんが太陽で蒼太くんが月だろう。
最後に、森 優(もり ゆう)こちらも顔がよく、なんでも出来るため、モテる。
羨ましいな、この野郎。
そんな6人と一緒に行くのか私…。
「じゃあ、よろしくね」
「あ…うん。また後でね」
ちなみにクラスは、蒼太くんは2-A。他は全員私と同じクラス。
どうなるのかな、この先。
ただ、私も屋上には前から興味を持っていた。だから、これを機会に屋上の秘密を暴いてやる。