七人だけの世界


気付けば、私は真っ黒な空間にいた。
横を見ても、上を見ても、下を見ても。
ぜーんぶ、真っ黒。


手を、自分の顔の前に動かしてみても、真っ黒だから、何も見えない。


私1人しかいないのか…、そんなことを思うと急にグッと不安が押し寄せてきた。


すると突然、キャッキャと笑い声が聞こえてくる。楽しそうな愉快な声。まるで、小さい子供が笑っているみたい。複数の声だ。


その声はあちらこちらから聞こえてきて。私を取り囲んでいるみたいな錯覚に囚われる。


「ねえねえ、おねーちゃん。ほんとはきづいてたんでしょ?」


幼い女の子の声が私に問いかけてくる。
一瞬、何のことかと思ったけど、思い当たる点が一箇所あり黙り込む。


「ほらっ、やっぱりきづいてたんだ。いってあげようか?あの言葉」


また別の声が愉しそうに喋りかける。

やだやだやだ。怖い怖い怖い。


なんで私がこんな目にっ…。怖すぎて、涙がポロポロと零れる。



「んー、おねーちゃんだまりこんでるから、わたしたちがいってあげるね」


嫌だ、怖い。足もガクガク震えてきて、立っていられなくなり、ぺたりと力なく地面に座り込む。


『ねえ、行かない方がいいよ。


あそこは危ないよ。だってあそこは…__異世界への入り口なんだから』



複数の声が、あの言葉を言う。


そう、私は分かっていた。あの声が最後なんて言っていたのかも。


でも私は、屋上に行きたい気持ちから、わざと忘れていたんだ。気づかないフリをしていたんだ。



あの忠告を………。







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