不思議なお客様


「そう、紗江の思っている通り、雪子先輩の話。」


「え!?だって、尚!雪子先輩ってもう亡くなって……」


「そうよ!あれから、雪子先輩に会ってないし、もうあの世に……」


2人が目を潤ますのも無理はない。


でも……私は見てしまった…


「本当はね、雪子先輩にその後あったの。」


「「え?」」


「あの後、私の家は反対方向だったじゃない?だから、私は尚達と別れて家へ向かった。」


「うん。そうね。」


尚が頷く。


「帰り道に、コンビニがあるじゃない?あそこでなんかよく分からないけど、惹きつけられるオーラを放つ人とすれ違ったの。」


「ま、まさか…」

紗江が目を見開く。


「うん、そうなの。雪子先輩だったの。」


「尚…」


紗江が涙を流す。


「彼女は言ったの。『あなた達にどうしても伝えたい事があるの。』って。」


ごくり……

唾を飲み込む2人。


「『私は死んでる。死んでるのだけど、心残りがあって浄化されずにいたの。それは、紗弥加、という土地に行けばわかるわ。そこのお屋敷にいる遣いの人に聞いてちょうだい。私はもうすぐ消える。
この地図をあなたに預けるわ。今まで仲良くしてくれてありがとう、そしてさようなら。』そういって雪子先輩は赤色に染まった空に帰って行ったの」


「そうだったのね……」


尚も涙を流し始めた。


「ごめんね、黙っていて…私の中でもやっと整理がついたの。」


「「整理?」」

「そう、私、その紗弥加に行ってみようと思うの。」


「え!?あそこがどんな場所か分かってる!?私が聞いた話はあくまで噂、本当のことはわからないのよ!?」


紗江が涙ぐみながら怒鳴る。


でも、私は決めたの。


「これは先輩が私に託したものだとおもうの。地図ももらったし、行かなきゃ。」


「そしたら、私達も……」


「駄目なの!それは……先輩がくれた地図に書いてあったの。唯子ちゃんしかできないことなの、って。」


折角尚が一緒にって言ってくれてるけど、もしかしたら、2人には危険なことなのかもしれないから。


「じゃあ、せめても、私達にできることを言って。」





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