不思議なお客様



小鳥のさえずりが森の中に響く。



「尚、紗江。私、頑張るよ。」


2人から貰った青色と赤色の勾玉。


青の勾玉は冷静、赤の勾玉は勇気という意味を持つらしい。


7月28日、午前10時45分を指す時計。


私は雪子先輩の地図に従い、ここ、紗弥加に来た。


「それにしても、綺麗な白のお屋敷だなー……ここの遣いの人は綺麗好きなのかね?」


そこにいた野生のうさぎに話しかけるも返事はない。


「なーに、うさぎに話しかけてんだか、私は。」


「そんなにお一人が嫌なのでしたら、お帰りになったらよろしいかと。」



「ひぃっ!!!でたぁぁあ!!!」


まさか、ここの都市伝説は本当だったのか!


「何を驚いてらっしゃるのですか?……どうぞ、中にお入りください。」


「に、人間!?いや、ん?人間!?」


「そうでございますが。私は、ここのお屋敷を所有する、雪子様にお仕えする者でこざいます。」


「え!?雪子って、もしかして、先輩!?」

「貴方の話は聞いております。話は後ほど、中でお話しします。どうぞ。」


私は、驚きながらも正気を取り戻し、お屋敷の中へと入って行った。
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