今すぐぎゅっと、だきしめて。


『ほら、さっき“ナムアダナムア、タスタステ”って』


「……なに、それ」


『だけど、だから 俺はこうして、ユイと話ができるんだ』




……え?  


さっき、あたしが必死で言った“おまじない”は、間違ってたってわけ?


しかも……



ユーレイとの契約の言葉だったなんて……




「うそぉ…」


意味わかんないんだけど……






ガックリと肩を落とし、うな垂れるあたしを見てヒロは「ユイ?」と切ない顔をした。



『ごめん…俺の身体が見つかるまででいいんだ』



なによ……



『そしたら俺は、ユイの前から消えるし』 



そんな泣きそうな顔しないでよ…



『それに、普段はちゃんと消えるようにするから。 ユイが俺を呼んだ時だけ現れるようにする。
だから……』


「あー、もう! わかったわよッ」






ヒロの今にも泣き出しそうな目を見て。




あたしは思わずそう言っていた。




< 10 / 334 >

この作品をシェア

pagetop