今すぐぎゅっと、だきしめて。
『え』と顔を上げたヒロ。
その顔は、泣き出しそうな程嬉しそうに笑い。
ホッとしたように大きな息を一つ。
なぜだか、あたしは。
そんな彼を見て「これでよかった」なんて思えてしまう。
『ありがとう。 それじゃ、ほら目ぇ 閉じて』
「え?」
『いいから。 これしないと俺、ここから動けない』
……それは困る。
だって、そんなところにずっといられたら、マジでホラーだもん。
あたしは言われた通り、瞼を閉じた。
―――…?
さっきから、頭の中に直接話しかけてきたヒロの言葉が、聞こえてこない。
なに?
聞こえない。
でも、気配はする。
……こ…怖い事は…やめてよね?