今すぐぎゅっと、だきしめて。
心臓が、またドクドクと音を立てだした。
そして、手の中には嫌な汗。
なんと言っても相手はユーレイなのだから。
そんな事を考えていると、あたしの心の中には急激に「恐怖」の感情が侵食していく。
怖い話を興味本位で聞いて、その日の夜、お風呂で頭洗えない感覚。
「……な…永瀬く…」
耐え切れなくて、口を開いた、
その瞬間だった――――
チクン!
「イタッ!」
突然、唇に針を刺したような痛み。
な、ななな何ッ!?
それと同時に何かが体の中に流れ込んできた。
あったかくて
かなしくて
うれしくて
さみしくて
愛おしくて
―――不思議
なに? この感じ……
慌てて目を開けたあたしの視界には。
いっぱいに永瀬ヒロの顔。
「……ぅ…わッ!?」
『契約完了。 ……これからしばらくお世話になります』
そう言って、ヒロはキュッと口角を上げて笑う。