今すぐぎゅっと、だきしめて。

なんで?

どうして、あたし……こんな事になってるの?



自分が一体どうなってしまったのか
頭が理解出来るのに少し時間がかかった。



「………あ、あの」

「しぃー。もう少し……一分でいいから」





そう言って、一層あたしを抱きすくめる腕に力をこめたのは和田君の姿をした……ヒロだ。



ドキン ドキン



やたら背の高い和田君

無駄な贅肉のない胸板に
頭と肩をグイッと引き寄せられたあたしの頬は、これ以上ないってほど引っ付いていて「ドクン」と力強く波打つ心音はまるで自分のものみたいに聞こえた。



なにも言えなくて
どうしていいのかわからなくて

あたしはただその音を聞いた。



「……やっぱ俺ダメかも」



ポツリと言葉を零したヒロの声は胸がキュってなるくらい小さくて
掠れていてあたしはたまらなくなって、そっと腕の隙間から彼を見上げた。



「なに……が?」




見上げた先に、ヒロと目が合う。



……あれ?

見えるのは確かにヒロの顔だ。


あれ? あれれっ?



和田君とダブってちゃんとヒロが見えた。



ヒロは、あたしを目が合うとまたすぐ逸らしてしまった。




……本当にどうしたの?


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