今すぐぎゅっと、だきしめて。


「ユイに霊感があるなんて……あたし、大樹が言うまで全然気がつかなかった。 親友失格だね」



寝返りをうちながら天井を見上げた奈々子は、溜息をつきながらそう零した。



「そんな……あたしだって、本当に最近まで気づかなかったのに……それに、ヒロだけだし」



でも、どうしてなんだろう?
確かに、昔から金縛りとかはよくあったんだ。

だけど
ヒロが現れてから、そう言う事はなくなった。

もちろん、彼に触れたりだとか……
見つめられてだとか……

そう言う時はなった気がするけど。


だけど、それって全然怖くなくて……


むしろ、なんて言うかさ……





「ふぅーん。 ヒロ……ね?」




からかうような声がして、ハッと顔を上げた。
見上げた先の奈々子は、綺麗な唇をキュッと持ち上げて
楽しそうに笑った。


かあぁぁあ――……


なぜか勝手に頬が熱くなっていくのを感じて
慌てて顔を背ける。



「あ。 そうだ……そういやその名前聞いて大樹が変な顔してた。
兄貴がどうとか……」

「――……兄貴? 確か二個上の……」

「そうそう。 バスケが超うまいあの兄貴」

「バスケ?」





――…そうだっけ?



< 135 / 334 >

この作品をシェア

pagetop