今すぐぎゅっと、だきしめて。
「ユイに霊感があるなんて……あたし、大樹が言うまで全然気がつかなかった。 親友失格だね」
寝返りをうちながら天井を見上げた奈々子は、溜息をつきながらそう零した。
「そんな……あたしだって、本当に最近まで気づかなかったのに……それに、ヒロだけだし」
でも、どうしてなんだろう?
確かに、昔から金縛りとかはよくあったんだ。
だけど
ヒロが現れてから、そう言う事はなくなった。
もちろん、彼に触れたりだとか……
見つめられてだとか……
そう言う時はなった気がするけど。
だけど、それって全然怖くなくて……
むしろ、なんて言うかさ……
「ふぅーん。 ヒロ……ね?」
からかうような声がして、ハッと顔を上げた。
見上げた先の奈々子は、綺麗な唇をキュッと持ち上げて
楽しそうに笑った。
かあぁぁあ――……
なぜか勝手に頬が熱くなっていくのを感じて
慌てて顔を背ける。
「あ。 そうだ……そういやその名前聞いて大樹が変な顔してた。
兄貴がどうとか……」
「――……兄貴? 確か二個上の……」
「そうそう。 バスケが超うまいあの兄貴」
「バスケ?」
――…そうだっけ?