今すぐぎゅっと、だきしめて。
「え?」
その声につられるように顔を上げると
すぐ傍に逆光になった大樹の顔。
眩しくて、思わず手をかざしたあたしの手を大樹の手が捉えた。
ドクン
心臓が激しく波打つのと同時に、体もビクリと震えた。
だって……
だって、大樹のそんな顔……
あたし、知らない。
「ユイは……俺の事どう思ってんの?」
ぎゅっと握られた手に力が篭る。
「……あたし……あたしは……」
あたしの言葉を待つ大樹の瞳も微かに揺れていて
「本当に気持ち」を言ってしまうのを、一瞬ためらった。
その時――……
「――あれぇ?! お前、こんなとこでなにしてんの」
「……っ」
「……!」
張り詰めていた空気を揺るがす声に
大樹は繋いでいた手をパッと離した。
声のした方へと視線を送ると
低い塀の向こう側に身を乗り出す人影が。
「ちぃちゃん……」
――……と、誰?