今すぐぎゅっと、だきしめて。
困ったようなちぃちゃんの隣に背の高い男の人。
チラリと大樹を見上げると、その顔は
まさに顔面蒼白。
そしてグッと寄った眉間はピクピクと痙攣しているようだった。
助かった……なんて心のどこかで思いながら
あたしは大樹にわからないように溜息をついた。
「かわいいカップルだね。 って、あれ?俺……もしかして邪魔しちゃったとか」
はぁ?
なに言ってくれてんの、この人!
清楚はちぃちゃんとはまるで正反対のような人。
緩いウエーブのかかった茶色の髪。
耳にはシルバーピアス。
長めの前髪から覗く、切れ長の瞳。
その顔に本当にお似合いの口は、楽しそうに吊り上っている。
ピンク色のTシャツから伸びた腕は
適度に筋肉質で、隣の誰かさんの腕みたいだ。
彼は、あたしと大樹を交互に見てさらにその目を細めた。
絶対……
絶対にちぃちゃんをだましてる!
チャラ男をジトッと見上げるあたし。
文句を言ってやろうと口を開いた瞬間、困惑したような声が耳に飛び込んできた。
「なんで……なんでいるんだよ…………兄貴」
「…………え」
えええぇぇえッッ
あ、あ、兄貴ーー!!!?