今すぐぎゅっと、だきしめて。
おかえりなさい
走って
走って
息をするのも忘れて
足がもつれそうになりながら
やっとたどり着いた。
「はぁ……はぁ……」
ここに、いるんだ。
息を吸い込むのを辛い。
だけど、なんとか大きく上下してる自分の胸にギュッと手を置いた。
唇を噛み締めて、顔を上げる。
ヒロ……、今、行くから。
「……よし」
小さく呟くと、「T付属中央病院」と書かれた真っ白な建物に足を踏み入れた。
あたしの何倍もある大きなガラス製の自動ドアが開いて、中から病院独特のにおいが体を包んだ。
この匂いだ。
合宿の時に感じたの。
病院独特の消毒液の匂い。
“外来”と書かれたフロアには、たくさんの人が入り乱れていた。
ガラス張りになっているそのフロアは、とても明るくて看護師さんも、患者さんもみんな笑顔で。
病院なのに、すごく穏やかで優しい雰囲気。
「……えっと、病棟は……」
辺りを見渡すと「ナースステーション」と書かれた場所を見つけ、あたしはそこへ向かった。