今すぐぎゅっと、だきしめて。
「……」
『503』と書かれた病室。
そのプレートに、確かに書いてあった。
「永瀬……真尋……」
真っ白なドアの向こうにヒロがいる。
ドクン
ドクン
まるで全身が心臓になったかのように、体中に血液がめぐる。
その感覚に、思わず目眩を起こしそうだ。
病院の中は、とっても涼しいのに。
あたしの手のひらは、じっとりと汗をかいた。
口の中がいつの間にか乾いてて、ごくりって唾を呑み込みたくてもそれをさせてくれない。
あたしはじっとスライド式のドアを見つめたまま動けずにいた。
極度の緊張に、視界がぼやけてしまう。
どうした、あたし!
さっきまでの勢いはどうしたのよ。
自分に言い聞かせると、あたしは意を決してドアに手をかけた。
ドクン
ドクン
ゆっくりとそれを横に引く。
音も立てずに開かれていくドアが、あたしの意識ごと奪っていきそうになる。
……ヒロ
あたし、やっと……やっとここにたどり着いたよ?