今すぐぎゅっと、だきしめて。


思わず両手で口を覆う。
突然の出来事に、ヒロも瞳を大きく見開いている。



「よかった……よかった!ヒロっ……本当によかったぁ」


彼女は、ギシギシと音がしそうなほど、ヒロの体を抱きしめた。
驚いて目を見開いたヒロだったけど、すぐにくしゃっとその表情を崩した。


「いて……かぁさん、痛い」

「痛いくらい我慢しなさいっ!」


そう言って、お母さんはヒロの肩をグッと掴むとそれを前後に揺さぶった。


「みんな待ってたんだよ? バカだね……」


消え入りそうな声で、そう言ってヒロのお母さんは涙を拭った。





「ヒロ……ヒロ…………」



何度もヒロの名前を繰返しながら、その人は力の限りヒロの体を抱きしめる。

涙をキュッと我慢して、震える声でそう言ったおばさんは、そっと目を細めた。

そんな自分の母親にヒロも小さく息をつくと、まだ頼りない笑みを零した。



「でも……本当によかった。 おかえり……ヒロ」

「……うん」



嬉しそうに、少しだけ泣きそうなヒロに、思わず視界が滲んだ。




よかった……

本当に、よかった。




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