今すぐぎゅっと、だきしめて。
昼下がりのカフェで。


数日が過ぎた。


でも、あたしの心はぽっかりと穴が開いたみたいで。


変だよね?

あの日のヒロの言葉が、ずっと頭の中でぐるぐるまわってるの。




『その子、誰?』


そう言って、首をかしげたヒロ。


目を覚ましたヒロに寄り添ったちぃちゃんが

『お隣のユイちゃん。 かわいいでしょ?』

そう言って、あたしを紹介した。



ヒロは暫くあたしの事をじっと見つめていたけど。

『……本当だ』

そう言って笑ったんだ。


眉を下げて、ほんの少しだけ困ったように。


あたしは、いても立ってもいられなくて、そのまま病室を後にした。



あたしを見つめていたヒロの瞳。
その中に、ユーレイの時のヒロを一瞬でも見付けた気がした。


でも……。

それはただのあたしの勘違いに過ぎなくて。


ヒロとちぃちゃんと、ヒロのお母さんが仲良く一緒にいる姿を見ていられなかった。



あたしは……。
一体なにを期待してたんだろう。


ヒロの体を見つける。


それだけが目的のはずだった。


なのに……。






あたし


すごく、欲張りだよ……。




ベッドにうつ伏せになっていると、すぐそばでケータイが震えた。


♪~♪~♪


ぐるりと重たい体を起こして、ディスプレイを開く。
馴染みのある名前を確認して、通話ボタンを押した。



「……ハイ」


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