今すぐぎゅっと、だきしめて。
……え?
なぜか指をさされ、思わず振り返る。
でも、そこは窓。
「……?」
「お前らだ、お前ら!」
首を捻ったあたしと奈々子。
そんなあたし達を見て、イラッとした様子のクラスの男子はズカズカと目の前にやってきた。
「安達と今井、お前ら2人だ! ボサッとしてないで、呼び込みして来いよ」
「はあ? なんでうちらッ?」
ビシィって指差された音が聞こえそうなほど、やたら偉そうに言う男子(水谷)に奈々子が反論する。
「なんでって、お前らヒマだろ! 安達はともかく今井、お前の色気で誘えッ」
……てゆーか、偉そうに言う事かああ!
ポカンとしたままの奈々子と、真っ赤なあたし。
「ちょ、ちょっと! それってどう言う意味よっ?」
今度はあたしが、水谷の胸倉を掴む番。
そんなあたしを見て、水谷はグッと目を細めて、その手をポンッと肩に乗せた。