今すぐぎゅっと、だきしめて。
…………。
……。
「はああ」
がっくりとうな垂れて、両手で窓枠を掴んだ。
「あはは。 おっかしぃ~、まさかユイが受けるなんて思ってなくて」
「……だってさ。 水谷のヤツ、あんな事言うんだもん」
目じりに涙を溜めて、お腹を抱えてる奈々子をジトーっと睨んでからあたしをもう一度大きく溜息をついた。
そんなあたしに並んで、奈々子は窓から校庭を眺めた。
校庭では、色んなクラスが露店を出していて、たくさんの人で賑わっていた。
「水谷、ユイに気があるんじゃないの?」
「……」
は?
キョトンとしたあたしを見て、ニコッと笑った奈々子。
「さっ、 いい男でも捕まえにいくか~」
「え? て、奈々子……そー言う冗談やめてよ」
楽しそうに笑う奈々子を見て、からかわれたんだとわかった。
水谷のヤツ、あたし嫌い。
だって、いつもあーしてあたしに意地悪するんだもん。
絶対、アイツだってあたしの事嫌いなんだ。
じゃなかったら、あんな態度とったりしないもん。
「こうなったらイケメン連れてこうよ。 写真館、誰もいないんじゃつまんないもんね」
「う、うん…………」
奈々子に腕を組まれて顔を上げた。
その時だった――……。