今すぐぎゅっと、だきしめて。
てゆーかさ。
あたしなんかのどこがいいわけ?
ちびだし?
胸があるわけじゃないし。
垂れ目だし、鼻は低いし。
「……」
はぁー…ほんとにどこがいいのか言ってみて欲しい。
てうゆーか。
もう、是非聞きたい!
…だいたいさ。
大樹、あんたならもっと美人で女度高い子、集まってくるでしょ?
それをあえて童顔でまるで子供っぽい、あたし。
どこが好きなの?
そ、そりゃ、告白されて嬉しかったけど。
でも…違う気がする。
なんてゆーか。
大樹のは…………
「はぁ……」
無意識に溜息をついたあたしに、奈々子は含み笑いをした。
「恋の病?」
「……は?」
てゆか、さっきのあたし達の以心伝心説、撤回しようか?
この暑いのに、さらに暑苦しい神田先生が教壇で教科書を読みまくってる。
それがまるで子守唄のようで。
あたしの耳には、これっぽっちも入ってこない。
頬杖を付いて、黒板を眺める。
あ~……
これじゃ、なんのための補習かわかんないよ。
貴重な夏休み、こんな事でいいのか?