今すぐぎゅっと、だきしめて。
ドクン
ドクン
奈々子の両手が、しっかりとあたしの肩を支えてる。
それがなかったら、あたしきっと立っていられないだろう。
その手に、力が入ったのがわかる。
『がんばれ』
そう言ってる気がした。
そうだよ。
“似合うよ”って、そう言えばいいんだよ。
簡単じゃん?
ちぃちゃんの家のお隣で。
彼女の、ただの近所の子。
そうだ。
記憶をなくしたヒロにとって、あたしってそれだけの存在なのに。
なにをいまさら。
あたし、なにをいまさら、こんなにヒロの事意識してんの?
瞬きを繰り返して、あたしを眺めるヒロ。
まるで不思議なものでも見るみたいな、そんな視線だ。
なによ……
ほんの3ヶ月前までは、自分がそれだったくせに。
ヒロなんか
ヒロなんか
「……に、に……にあ……」
だけど、喉から声がうまく出てこなくて。
震えていて。
泣きそうになった。
「…………プッ。 アハハ」
「……」
へ?