今すぐぎゅっと、だきしめて。
タンッタンッ!
階段を勢い良く駆け上がる。
お願い!
間に合って!
彼に伝えたいことがあるの!
ハア ハア ハア
足がもつれそうになりながら、なんとか階段を下りた。
「……ッ、ハア……ハア……」
階段を下りて立ち止まったあたし。
今、電車を降りたたくさんの人が、佇んでいるあたしを迷惑そうに眺めながら先を急いでいる。
「……」
あたしが降り立った地下鉄のホーム。
だけど、電車はとっくに走り去ってしまっていて。
まばらな人しか、残されてなかった。