今すぐぎゅっと、だきしめて。
なんで?
だって……あたしのことなんか
全然気づいてなくて……
気づいてくれたとしても
あたしのこと、忘れちゃってて……
なのに……。
なんで、いるの?
「……ヒロぉお?」
涙と鼻水で、顔中グチャグチャ。
こんなあたし、最悪。
だけど、目の前のヒロが……
初めて会った時と同じようにそこにいて。
困ったように笑ってるから
あたし、泣かずにいられないよお
ここから。
ここから、はじめてもいいでしょ?
だから、聞いて欲しいの。
「あ! あの……マヒロさん……」
真尋って名前……やっぱり慣れなくて。
なんだかぎこちなくなっちゃう。
あたしはグイッと涙を拭うと、1歩前に踏み出した。