今すぐぎゅっと、だきしめて。
え?
思わず押しのけそうになって、だけどそんな
あたしの力も、ヒロの前にしてみたら
子供の力で。
ギュッと包み込まれる。
肩と、頭に回された腕。
その腕に、さらに力が加わって。
あたしの髪がクシャリと持ち上がる。
なに?
どうなってんの?
「俺、やっぱりユイに泣かれるの……キツイ」
掠れた声が耳元をくすぐる。
「……え、ヒロ?」
どうして。
その言葉……。
それって、ユーレイのヒロがあたしの前から消えちゃう時に
言った言葉なんだよ?
なのに……
なんで?
ヒロはあたしの髪に顔を埋めたまま。
ゆっくり言葉を紡いだ。
ためらいがちに。
でも、はっきりと。