今すぐぎゅっと、だきしめて。
ギュッと閉じていた目をあける。
あたしが転びそうなのを見ていたのは、ヒロ。
だから、彼があたしを助けてくれたものだとばかり思っていた。
でも。
目の前にいたのは……。
「……あ、ありがとう、大樹」
「何してんだよ」と心配そうにあたしの顔を覗き込んでいた大樹。
でも、なぜかあたしと目が合うと少しだけその瞳を見開いた。
…なに?
そして、腰にまわした腕に力が加わる。
「……大樹?」
「え?……って、うわッ! ごめん」
「…ちょッ…」
きょとんとしたあたしにたった今気づいたように、驚いた大樹はなぜか顔を真っ赤にして慌ててあたしに回されてた腕をパッと離した。
大樹に支えられていたあたしは、そのまま地面へと投げ出される。
「いッたーッ!」
「ユ、ユイッ!」
しりもちをついて、顔を歪めたあたしに手を伸ばしながら大樹は困ったような顔をした。
もーッ!
だったら離すなーッ!!
「何してんのよー、あんたら」
少し先を歩いていた奈々子達が振り返り、ケタケタ笑っている。
「……うるせーな!ユイが…その…ユイが悪いんだッ」
「はあッ?」
ちょっと大樹! あたしのどこが悪かったっての?