今すぐぎゅっと、だきしめて。
なぜか耳まで真っ赤の大樹。
必死に言い訳してるし。
「……これじゃ、アイツも大変だな」
ヒロはあたしの横にしゃがみながらそっと顔を覗き込んで来た。
「な、何が?」
「わかんないの?」
「だからなによ」
ジロリと睨んだあたしに、ヒロは「別にー」とだけ言って、また立ち上がった。
なによッ!
そりゃ、あたしにだってわかってるよ。
大樹が、あたしに告白してくれたことだって、ちゃんと覚えてるもん。
だけど、「今のまま」がいい。
そう願ってしまうんだ。
これ以上先には、進みたくない。
恋とか
愛とか
あたしにはまだわかんない。
「ったく、あいつら。 俺で遊んでやがる…… ユイ、大丈夫か?立てる?」
ブツブツと文句を言っていた大樹は、まだ地面に座り込んでいるあたしを見ながら言った。
「うん。 大丈夫」
差し出された手を断りながらあたしは何とか起き上がった。