今すぐぎゅっと、だきしめて。
そうなの?
ってゆーか、やだッ!!!
『レイカン』とか嬉しくないッ!
やだやだやだやだ、ヤダよーッ!
「う…嘘、だよね?」
「俺が嘘ついても意味ないよ」
ひえぇぇえええーーッ!!!
無理無理無理!!
だってアタシ極度の怖がりだしーーッ
「……」
ヒロの衝撃告白に、ひたすらのた打ち回り。
耳を塞ぎ、ようやく落ち着いたあたしはまるいピンクのクッションを腕の中でキュッと抱き締めた。
「今まで、そんな経験なかったの?」
あたしに向き合うように腰を下ろしたヒロは、片足をベッドに上げながらあたしの顔を覗き込んだ。
「……ないよ。 たぶん」
あたしの答えを聞いたヒロは、呆れたように「はぁー」と大きく溜息をつくと立てた膝を抱えた。
「ま、見えなくていいモノもあるからな」
「…………」
なんか、その言い方やめて欲しかった。
今、あたしは自分の家だって言うのに。
扉の向こうが急に怖くなった。
さらに、真夏だと言うのに背筋に走る悪寒。
……考えない考えないッ!
あたしは勝手に浮かんでくる「見えないモノ」を消すように頭をフルフルと振った。