今すぐぎゅっと、だきしめて。

わかるよ?


窓の外……
何かが中の様子を伺ってる。

なんだろう?

ジッとこちらを見てる。


怖い…

でも怖くない。


不思議な感覚……。



これは、ヒロがここにいるから?



そうだ……


最初に感じた、ヒロの光。


ヒロの体を覆っていた眩い光。


彼が持ってるその光で、あたしはもしかしたら「悪い霊」から守られてるのかもしれない。



初めて会った日の夜。
確かにあの時の気配は、あたしを苦しめた。
そして、足から這い上がって来た「ソレ」はあたしを襲うとしてた。


でも、ヒロが現れたらその気配はなくなっていた。



……怖かったけど。



それにお祭りの日も。
ヒロは、あたしを守ってくれてるんだね?



ジッと目を閉じていると、すぐそばでヒロの息遣いを感じた。


もう、すぐそこ。


ヒロの前髪があたしに触れた。

そして……



「……ッ」



痛い……!

やっぱり、痛いーッ!


感傷的に考えていられるのもそこまで。


あたしはあの時と同じ、唇に感じる痛みに気を失いそうになっていた。



なんでこんな痛いのよぉおお!!!


キスって、甘くてとろけちゃうって誰か言ってなかったっけ!?




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