今すぐぎゅっと、だきしめて。

背後……

真後ろに、イル。



ドクン ドクン

 ドクン  ドクン

ドクン ドクン



あたしは、恐る恐る振り返った。




――……あ……あ



「で、でた……」

『しぃー。 大きな声出さないで』





あたしは、見開いた目をパチパチとさせ、何度も瞬きをした。


目の前には……

お、男の子?


彼は、薄暗い部屋の中でぼんやりと光って見えた。


淡く発光し、少しだけ身を屈めた彼は、あたしの顔を覗きこむような仕草をする。




目が合う。




でも

その向こうの壁がはっきりと見えている。


な……なに…これぇ…




「……だ、だれ?」




口の中の水分が全部どこかへ行ってしまい
あたしはカラカラに乾いた喉へと必死で唾を送り込む。


涙目のあたしを見て、彼は少しだけ泣きそうな顔をした。



なに?

泣きたいの、こっちなんですけど!





……てゆーか、ほんとにいたんだ




ユーレイっっ!!!!


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