今すぐぎゅっと、だきしめて。
「それなのに……あの子がこんな事になるなんて……」
少しだけ声を震わせて、ヒロのお母さんは写真にそっと触れた。
「……」
あたしは何も言えず、ただ写真の中のヒロを見つめるしか出来なかったんだ。
写真だけは、その瞬間を閉じ込めておける。
顔をくしゃくしゃにして笑うヒロ。
今にも「 ユ イ 」って……
あたしの名前を呼んでくれそうな錯覚になってしまう。
――…ヒロ
こんな素敵な友達やお母さん残して……
どうして死んだりなんかしたのよ……
喉の奥がツンと痛い。
写真のヒロがグラリと滲んで見える。
生きてるヒロはどんな?
暖かいヒロは、どんななの?
きっと、その笑顔はもっとキラキラ輝いてるんだよね?
ヒロ……
ヒロは……
「ほんと、バカだよ……」
『―――誰が バカだよ』