今すぐぎゅっと、だきしめて。
待ってよ
それじゃ…
もしかして……
「ねえ、ヒロ……ヒロは自分がユーレイだって言ったけど、だけど生きてる記憶とか事故に遭った瞬間の事は覚えていなんだよね?」
『……そうだけど。 それが仏壇がなかった事と関係ある?』
あたしの考えがわからないと言うように、ヒロは怪訝そうな顔をした。
そうだよ。
もしかしたら…………
そして、あたし達は見晴らしの良い交差点にいた。
「……ここだ」
『……』
―――ゴクリ
カラカラになった喉へ、生唾を無理矢理送り込む。
自動車もほとんど通らない、寂しい交差点。
本当に、ここなんだろうか?
ふと気づくと、コンクリの間から黄色い小さな花がユラユラと風に揺れている。
なんて花だろう…
日陰もないここは、灼熱の太陽が容赦なくその陽を降り注いでいる。
じっとしているだけでも、ジワリと背中に汗が伝う。
それなのに、この花はそんなのは関係と言うように、可憐に咲き誇っていた。
「……お前はえらいね」
自転車を停めて、あたしはそっとその花に触れた。
その瞬間だった――――
光の渦が
あたしの体を包み込んだ。