今すぐぎゅっと、だきしめて。

小さく震えるあたしを見て、悲しそうに微笑むユーレイ。


は、初めて見た……
ホンモノ。



足…ちゃんとあるし。



本とかテレビで観るのって、足ないよね?



この目の前の彼は……


なんてゆーか、リアルだ。
ちゃんと生きてる人間で実体があるみたい。



初めに現れた場所から動いてはいないし、ぼんやりとしてるものの。
しっかりとその様子は見て取れる。


きっと年は、あたしと同じか年上。

背も大きそうだし、その表情は温厚で。

綺麗な男の子だ。


そんな彼は、困ったようにポリポリと右眉を掻いた。





『どうしてここにいるのか、俺にもわからないんだ。 気づいたら、この部屋にいた』


「…わ…わからないって」


『どうも、俺は死んだらしい。 でもその記憶がないんだ』


「……はぁ」


『わかるのは、永瀬ヒロって名前だけ。 あんたは?』


「あ、あだ、安達…ユイ……」




てか、あたし!!!!

なにユーレイと語っちゃってんの!!?




怪奇現象とか。

超常現象とか。


まるきり信じないあたし。




そのあたしが、まさに怪奇現象に出くわしてるんですがッ!






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