今すぐぎゅっと、だきしめて。
―――……時間が
止まったかと思った。
息をするのも忘れてた。
「…………」
『この身体じゃ、ちょっと触っただけでも痛みが伴うだろ?
だから、本当はもっと抱きしめたいのに……それが邪魔するんだ』
掌を開いたり閉じたりして、あたしの顔を覗き込んだヒロ。
あたしは、開いた口が塞がらないまま
ヒロの顔をただ見つめてた。
うんん……逸らせなかった。
……今、何て言ったの?
胸が
身体が
熱いよ……
『でも、まあ、 それは叶わなそうだし……』
ヒロはそう言って、また窓の外を眺めた。
『だから、気が変わらないうちに……ユイから離れたい』
そう言って、何かをあたしに差し出した。
……?
差し出された手に視線を落とすと
すぐにそれが“花”だとわかった。
あの花だ……
ヒロが事故をした、あの場所に咲いていた
黄色い小さな花