今すぐぎゅっと、だきしめて。
ヒロは相変わらず、白いシャツにグレーのパンツ姿でそこにいた。
あたしと窓越しに話すヒロは、本当にそこにいるようだけど。
そこには居ない。
あたしにしか、見えてないし…この声も聞こえていない。
だから、窓の外を見て驚愕してるあたしは、今ものすごく変な子なんだけど。
「ヒロッ…ヒロ? どうして……なな……なんで」
声にならない声を出し、あたしは窓に両手を付いた。
ヒロは、そんなあたしを見て少しばつが悪そうにポリポリと頭をかくと苦笑いを零した。
『……さあ? 俺にもさっぱり』
「………」
やっぱりあたし、おかしいのかも。
だって……
だって、ね?
ヒロに会えて嬉しい。
純粋にそう思ってる。
本当は、今にも泣き出しそうなほど。
ユーレイなのに、ユーレイらしくないヒロ。
ヒロは、ちゃんと自分が「死んでる」事はわかってる……
一度はこの世を去ったヒロ。
でもなぜか、彼はまた戻ってきた……
あたしに姿を見せてくれた。
――…胸が熱い
この感情をなんと呼ぶんだろう?
それがなんだか、まだわからない。
でも、あとちょっとでわかりそうなの。