夜一を見たらわかること
教室に入ると、夜一が席についていた。

いつも来るのはあたしより先。大人しく、文庫本に視線を落とす。

あんな態度とりやがってと腹が立つ。

昔の夜一は、そんなこと言わない。

あたしが夜一の教科書にラクガキしたって、やめてよしか言えなかったのに。

だけど、関わりたくないから、話しかけない。

きっと、気の弱かった昔の夜一じゃないんだ。
< 23 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop